ヴァケラス(Vacqueyras)はフランスのAOC。規定に17品種が列挙されている。比率が決まっているのはグルナッシュ(赤の主要品種/作付けの50%以上)など17品種。当サイトは一次資料3件から引いている。
ヴォクリューズ県の2コミューンだけ。赤・白・ロゼの3色。当サイトのフランスの産地でただひとつ、植栽密度を「1haあたり何株」ではなく「1株あたり何m²」で縛っている。
規定で認められている品種
生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。
現行の施行版(2020年12月7日のアレテ)そのものは取得できませんでした。官報の該当文書が3回とも読めず、生産者団体にも清書版が見当たりませんでした。上の数値は、1つ前の施行版(2015年7月31日デクレ改正版)と、2020年版を生んだ改正案(PNO)の2つを突き合わせ、両者が完全に一致した項目だけを載せています。アレテの日付・JORF掲載日は、同じアレテで一括ホモロゲーションされたAOCミネルヴォワの官報版から確認しました。また、2021年9月8日のINAO常設委員会が「一時的な改正」に賛成意見を出しています。内容は品種比率のしきい値の引き下げと欠株率の20%→30%への緩和で、2021年から5年間の予定とされています。施行されたかどうかを確認できなかったため、上の比率は現在の値と違う可能性があります。
黒ぶどう・共通
- グルナッシュ赤の主要品種/作付けの50%以上
- シラー赤の補完品種/ムールヴェードルと合わせて20%以上
- ムールヴェードル赤の補完品種/シラーと合わせて20%以上
- サンソーロゼの主要品種/赤では補助
- カリニャン赤・ロゼの補助/補助の合計10%以下
- クーノワーズ赤・ロゼの補助/補助の合計10%以下
- ミュスカルダン赤・ロゼの補助/補助の合計10%以下
- ヴァカレーズ(ブラン・アルジャンテ)赤・ロゼの補助/補助の合計10%以下
- テレ・ノワール赤・ロゼの補助/補助の合計10%以下
- ピクプール・ノワール赤・ロゼの補助/補助の合計10%以下
- グルナッシュ・グリ赤・ロゼの補助/補助の合計10%以下
白ぶどう
規定の要点
- 赤・ロゼ・白のスティルワイン
- ヴォクリューズ県のサリアンとヴァケラスの2コミューンのみ
- 赤の比率は4段重ね(第V章2°、いずれも経営体の全区画で判定)。主要品種+補完品種の合計が90%以上、グルナッシュが50%以上、シラーとムールヴェードルの合計が20%以上、補助品種の合計が10%以下。さらに白ぶどうの合計は5%以下
- 白は各品種が80%以下(1品種に寄せきることを禁じる形)。ロゼは主要品種が各80%以下、補助品種の合計が10%以下
- AOC区域内の面積が1.5ha未満で自家醸造しない栽培者は、赤の比率規定を免除される
- 新しく植えてはいけないクローンが番号で指定されている。グルナッシュは70・134・137・224・287・432・514・517・814、シラーは73・99・301・381・382・383
- 収量は3色とも36 hl/ha、rendement butoir は40 hl/ha。さらに42 hl/haを超えると収穫全量がAOCを失う(第VIII章3°。butoirと混同しないこと)
- 植栽密度に「1haあたり何株以上」という下限がない。代わりに畝間2.50m以下、株間0.85〜1.20m、1株あたりの面積2.50m²以下で縛る
- 仕立ては短梢(ゴブレまたはコルドン・ド・ロワイヤ)、コルソン最大6本・各2芽以下。ヴィオニエだけギュイヨが認められる
- 最低糖度はグルナッシュ216 g/l、その他の黒ぶどう207 g/l、白ぶどう196 g/l(=色別ではなく品種別。ロゼ固有の値は無い)
- 最低自然アルコール度数は赤12.50%、ロゼ12%、白12%。総アルコール度数の上限は14%
- 醸造設備の容量は、収量36 hl/ha から出る生産量の1.5倍以上を持つこと
- 木片(morceaux de bois)の使用は禁止。ロゼには醸造用木炭の使用も禁止
- 熟成は白とロゼが翌年1月1日まで、赤が翌年1月15日まで。消費者への販売は白とロゼが翌年1月15日から、赤が翌年1月31日から
- 元詰め・瓶詰めの義務は無い
この産地でわかったこと
植栽密度を「1haあたり何株」で書いていない——当サイトのフランスの産地でここだけです。タヴェルは4,000株、ペサック・レオニャンは6,500株、マルゴーは7,000株、シャトー・シャロンは5,000株と、どれも1ha基準の下限を持っています。ヴァケラスはそれがなく、代わりに1株あたりの面積2.50m²以下という上限と、株間0.85〜1.20mという帯で縛る。同じ「密度」を、面積あたりの本数ではなく1本あたりの取り分で見ている設計です。赤の比率も変わっていて、4つの条件が重ねてかけてあります。主要+補完で90%以上、グルナッシュ50%以上、シラー+ムールヴェードル20%以上、補助10%以下。上から枠を決め、中で主役の下限を決め、脇役にも下限を決め、残りに上限をかける。コート・デュ・ローヌやジゴンダスと同じ「作付面積で数える」型ですが、段数がいちばん多いのがここです。そしてもうひとつ、新しく植えてはいけないクローンを番号で名指ししている。品種の名前ではなく、その中の特定の系統を排除する規定は当サイトでここだけです。
出典
生産規定フランス農業・食料主権省 BO-AGRI(官報)— 1つ前の施行版
https://info.agriculture.gouv.fr/boagri/document_administratif-5cae91ee-7281-49fb-a01b-3d1fff4f78ec/telechargementAOC「Vacqueyras」生産規定。décret n°2011-1548 du 14 novembre 2011 でホモロゲーション、décret n° 2015-973 du 31 juillet 2015 で改正、2015年8月27日BO-AGRI公示。現行は arrêté du 7 décembre 2020 だが、その統合版は取得できなかった(2026年10月19日に確認)「Chaque pied dispose d'une superficie maximale de 2,50 mètres carrés.」
生産規定INAO(フランス国立原産地・品質研究所)— 2020年の改正案(PNO)
https://extranet.inao.gouv.fr/fichier/CDCVacqueyrasPNO2020.pdf2020年12月7日アレテを生んだ改正案。ヘッダのホモロゲーション行が上の2015年版と一致することを確認し、品種・比率・密度・糖度・収量の数値が2文書で一致することを確かめた
生産規定フランス農業・食料主権省 BO-AGRI(官報)— AOC「Minervois」生産規定
https://info.agriculture.gouv.fr/boagri/document_administratif-cc1cf391-d666-49f9-81cc-7ca4a90414cd/telechargementヴァケラスと同じ arrêté du 7 décembre 2020 で一括ホモロゲーションされた別AOC。現行版のアレテ日付・JORF日・BO公示日の確定に使用
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。