シャトー・シャロン(Château-Chalon)はフランスのAOC。規定に1品種が列挙されている。比率が決まっているのはサヴァニャン(100%(これ1品種のみ))など1品種。当サイトは一次資料3件から引いている。
ジュラの4コミューンだけ。サヴァニャン1品種で、オーク樽で6年以上寝かせる。規定は「樽を満たさないこと」「蒸発分を補酒(ouillage)で補わないこと」を義務づけていて、そのあいだに表面へ酵母の膜(voile)が張る。
規定で認められている品種
生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。
2026年2月12日付で改正案(PNO)が進行中です。上の数値は現行の施行版(2011年のデクレ、改正なし)のものです。改正案にはサヴァニャン以外の2品種(アンファリネ/グランジェ)の追加と、収量を30から40 hl/haに上げる提案が含まれていますが、いずれもまだ提案であって現行の規定ではありません。なお改正案のPDFは「追加される条文」が1回しか現れないため、それだけを読むと現行規定に見えてしまいます。当サイトは施行版と突き合わせて判別しました。また官報(BO-AGRI)側の文書番号は特定できず、生産者団体が公開している施行版の写しを使っています(冒頭のホモロゲーション行が改正案のヘッダと一致することを確認済み)。
黒ぶどう・共通
- サヴァニャン100%(これ1品種のみ)
規定の要点
- ジュラ県の4コミューン(シャトー・シャロン/ドンブラン/メネトリュ=ル=ヴィニョーブル/ヌヴィ=シュル=セイユ)。醸造と熟成はジュラの60を超えるコミューンで例外的に認められる
- 品種はサヴァニャン1つだけ(比率の規定ではなく、そもそも品種が1つしかない)。条文は `Les vins sont issus exclusivement du seul cépage savagnin B.` と書いている
- 最低糖度は204 g/l。これを下回る果汁は完熟とみなされない(第VII章2°)
- 最低自然アルコール度数は12%。補糖後の総アルコール度数は14%を超えてはならない
- 収量は30 hl/ha、rendement butoir(絶対上限)は50 hl/ha。この差が20もあるのは当サイトで最大なので、どちらの数字かを取り違えないこと
- 植栽密度は1haあたり5,000株以上(段々畑は除く)
- 発酵性糖(グルコース+フルクトース)は3 g/l以下
- オーク樽で、収穫翌年から数えて6年目の12月15日まで熟成させる。うち60か月以上は産膜酵母の膜の下(sous voile)(第IX章2°)
- 樽は完全には満たさない。自然蒸発を補酒(ouillage)で補わない。そのあいだに表面へ酵母の膜(voile)が形成される
- 木片(morceaux de bois)の使用は禁止
- ぶどうは「できるだけ遅く、完熟してから」収穫する
- 若木は、当該区画の作付けの80%まで認められた品種であればよい(第VIII章3°)
- 消費者への販売は、収穫翌年から数えて7年目の1月1日から(第IX章5°)
- 表示の補足規定として、容量62clの「クラヴラン(Clavelin)」瓶が定められている。この呼称専用の瓶で、`d'une contenance de 62 centilitres environ` と書かれている
- 補足表示(mentions complémentaires)の定めは無い(第II章は「Pas de disposition particulière.」)
この産地でわかったこと
よく言われる「6年3か月」の正体が、条文を読んで分かりました。規定は年数ではなく暦日で書いていて、熟成は収穫翌年から6年目の12月15日まで。収穫が9月なら、そこから12月15日まででちょうど6年3か月になります。「6年3か月」は規定の文言ではなく、暦日の規定を収穫からの経過時間に直した数字でした。そのうえで60か月以上を産膜酵母の膜の下でという別の下限が重ねてあります。そしてこの産地は、「何かをしないこと」を義務づけている——当サイトでここだけです。樽を満たさない、蒸発分を補酒で補わない。普通の規定は「何を、どれだけ入れるか」を書きますが、シャトー・シャロンは醸造中の作業そのものを禁じることで、表面に酵母の膜が張る状態を作り出しています。もうひとつ、瓶の容量そのものが規定されている点も珍しい。62clという中途半端な数字は、1リットルを6年以上膜の下で寝かせたあとに残る量、つまり目減りの実測値が瓶の規格になっているという由来を持ちます。フランケンのボックスボイテルは「瓶の形に糖度を紐づける」規定ですが、こちらは容量の数値そのものを書いている点が違います。
出典
生産規定ジュラ県ワイン生産者協会(Société de Viticulture du Jura)— 施行版の写し
https://www.sv-jura.com/medias/aoc/cahier-des-charges/CDC_CHATEAU_CHALON_V2.pdfAOC「Château-Chalon」生産規定。décret n°2011-1187 du 23 septembre 2011 でホモロゲーション、2011年9月27日JORF掲載。以後の改正なし。第I章 V・VII・VIII・IX(2026年10月19日に確認)「Les fûts ne sont pas remplis complètement tandis que l'évaporation naturelle n'est pas compensée par un ouillage」
生産規定ジュラ県ワイン生産者協会(Société de Viticulture du Jura)— 施行版の写し
https://www.sv-jura.com/medias/aoc/cahier-des-charges/CDC_CHATEAU_CHALON_V2.pdf同 第I章 IX項2°。熟成の期限と、産膜酵母の膜の下に置く月数「dont 60 mois au moins sous voile」
生産規定INAO(フランス国立原産地・品質研究所)— 2026年2月の改正案(PNO)
https://extranet.inao.gouv.fr/fichier/pno-CDC-ChâteauChalon-cn260212.pdf版の判定と突き合わせに使用。ヘッダのホモロゲーション行が上の施行版と一致することを確認。この文書に出てくるアンファリネ・グランジェと収量40 hl/haは改正の提案で、現行の規定ではない
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。