winovibe

ドイツ / g.U.

ヴュルテンベルク

Württemberg

ネッカー川の谷沿いに広がり、ボーデン湖畔に飛び地を持つ。当サイトでただひとつ、急斜面の畑に通常の畑より高い収量上限(150 hl/ha)を与えている産地。州をまたぐため、最低糖度の表が2本ある。

規定に名前が出てくる品種

ドイツの製品仕様書には品種の比率規定がありません。縛っているのは収量上限と最低果汁糖度(Mostgewicht、単位は°Oechsle=エクスレ度)の2つだけです。最低糖度は「品種グループ×プレディカート(肩書き)の段階」という二次元の表になっていて、どの品種を名指しで低く/高く扱うかに、その産地の性格が出ます。仕様書には品種の一覧表もありますが、これは複数の産地で番号も順序も同一の全国共通リストなので、当サイトでは「その産地の主要品種」として扱っていません。以下に挙げているのは、最低糖度の表が名指ししている品種です。

バーデン=ヴュルテンベルク州側の畑のプレディカート段階(カビネット〜アイスヴァイン)の°Oe値は取得できませんでした。同じPDFを3回読みましたが、節番号と表の構造の説明が読みごとに食い違い、°Oeの列と%volの列を分離できませんでした(1回目はアウスレーゼを「13.0°Oe」と読みましたが、これは13.0%volの誤読です)。上に載せているのは、2回読んで一致したクヴァリテーツヴァインの品種別の値と収量上限だけです。バイエルン州側の表は2回とも一致したので採用しています。

黒ぶどう・共通

規定の要点

  • 北のヴァイカースハイムから南のメッツィンゲンまで、ハイルブロンとシュトゥットガルトを通るネッカー川の谷沿い。加えてフリードリヒスハーフェンとリンダウの間のボーデン湖畔に飛び地がある
  • 支流のコッヒャーとヤクストがホーエンローエ台地のムシェルカルクを深く削り、石が多く化石を含む急斜面を作る。北部は骨格質のムシェルカルク、残りは赤みのある養分豊かなコイパーのマール
  • 品種の比率規定はない
  • 収量上限(バーデン=ヴュルテンベルク州の畑)は通常の畑110 hl/ha(異常な年は所管官庁が最大10hl上積みでき、さらに20%の繰越枠)、急斜面の畑(Steillagen)は150 hl/ha(+20%の繰越枠)
  • 収量上限(バイエルン州の畑)は110 hl/ha
  • クヴァリテーツヴァインの最低糖度(バーデン=ヴュルテンベルク州)はリースリング/シルヴァーナー/レンベルガー/トロリンガーが57°Oe、グートエーデル/ミュラー・トゥルガウ/ヴァイスブルグンダー/ドルンフェルダー/シュペートブルグンダーなど18品種が60°Oe、シャルドネ/トラミーナー/ルーレンダー/カベルネ系/メルロー/シラーなど32品種が63°Oe
  • ゼクトとヴィンツァーゼクトは全品種57°Oe
  • クヴァリテーツヴァインは総アルコール15%volまで補糖できるが、プレディカーツヴァインは補糖禁止

この産地でわかったこと

急斜面の畑のほうが収量上限が高い——150 hl/haと110 hl/haで、40 hl/haも違います。通常は「急斜面=高品質=低収量」ですから、これは逆向きです。斜面では単位面積あたりの植え方や作業の条件が違うことを織り込んだ規定と読めますが、当サイトの産地で急斜面に高い上限を与えているのはここだけです。もうひとつ、この産地は州をまたぐために最低糖度の表が2本あります。バイエルン州側の畑の数値はフランケンと同じで、同じ産地名なのに、畑がどちらの州にあるかで数字が変わる。品種の並びではトロリンガーとレンベルガーが最低の57°Oeに名指しされていて、この2品種が出てくるのはドイツの産地でヴュルテンベルクだけです。

出典

生産規定欧州委員会 eAmbrosia — Württemberg 製品仕様書(Technische Unterlage)
https://webgate.ec.europa.eu/eambrosia-api/api/v1/attachments/10471PDO-DE-A1276、Ares(2011)1394637(2011年12月21日)。第5.b節(収量上限)、クヴァリテーツヴァインの品種別最低糖度(2026年10月6日に確認)「Es gilt ein Hektarhöchstertrag von 110 hl/ha für Normallagen ... und 150 hl/ha für die im Rebenaufbauplan abgegrenzten ... Steillagen」

規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。