イタリア最北のDOC。ひとつの呼称の中に約40のタイプと6つのサブゾーンが入っていて、隣のDOCに自分の名前を「追加表示」として貸し出す条項まである。
規定で認められている品種
生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。
収量、ぶどうからワインへの歩留まり、収穫時の最低自然アルコール度数、熟成の規定、消費時の総アルコールと無還元エキスは取得できませんでした。この規定書はPDFが大きく、読み取りが第3条(生産地域の記述)の途中で止まってしまい、第4条以降の条文に届きません。上に載せているのは第1条(タイプ)と第2条(品種構成)だけです。また、サブゾーンごとの品種比率も読み取りが安定しなかったため載せていません。
黒ぶどう・共通
- ピノ・ノワール(ピノ・ネロ)単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Pinot Nero
- カベルネ・ソーヴィニヨン単一品種表示は85%以上
- カベルネ・フラン単一品種表示は85%以上
- メルロー単一品種表示は85%以上
- スキアーヴァ(スキアーヴァ・グロッサ/ジェンティーレ)単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Schiava (o Schiava Grossa o Schiava Gentile)
- スキアーヴァ・グリージャ単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Schiava Grigia
- ラグレイン単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Lagrein。当サイトに品種ページはまだありません
- モスカート・ローザ単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Moscato Rosa
白ぶどう
- シャルドネ単一品種表示は85%以上
- ピノ・ブラン(ピノ・ビアンコ)単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Pinot Bianco
- ピノ・グリ(ピノ・グリージョ)単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Pinot Grigio
- リースリング単一品種表示は85%以上
- ソーヴィニヨン・ブラン単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Sauvignon
- ミュラー・トゥルガウ単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Müller Thurgau
- ゲヴュルツトラミネール(トラミネール・アロマティコ)単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Traminer Aromatico
- シルヴァーナー単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Sylvaner
- ケルナー単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Kerner。当サイトに品種ページはまだありません
- モスカート・ジャッロ単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Moscato Giallo
- リースリング・イタリコ単一品種表示は85%以上 / 原文表記: Riesling Italico
規定の要点
- 正式名称は「Alto Adige」「Südtirol」「Südtiroler」のいずれでもよい
- タイプは約40。スプマンテ系、品種名のない「ビアンコ(Weiss)」「ロッソ(Rot)」、単一品種19種、そして2品種を併記する「ビヴァリエターリ」6組
- 単一品種を名乗るには当該品種85%以上。残り15%はボルツァーノ自治県で栽培に適した「同じ色の」品種に限られる
- 「ビアンコ」はシャルドネ/ピノ・ビアンコ/ピノ・グリージョ/ミュラー・トゥルガウ/ソーヴィニヨン/リースリング/シルヴァーナー/トラミネール・アロマティコ/ケルナーで合計85%以上
- 「ロッソ」はスキアーヴァ/ラグレイン/ピノ・ネロ/メルロー/カベルネで合計85%以上
- スプマンテはピノ・ビアンコ/ピノ・ネロ/シャルドネから。ロゼのスプマンテはピノ・ネロが50%以上
- サブゾーンは6つ(コッリ・ディ・ボルツァーノ/メラネーゼ・ディ・コッリーナ/サンタ・マッダレーナ/テルラーノ/ヴァッレ・イザルコ/ヴァッレ・ヴェノスタ)。サブゾーンごとに使える品種のメニューが違う
- ロゼには「クレッツァー(Kretzer)」というドイツ語の伝統名が品種ごとに用意されていて、ラグレイン/メルロー/ピノ・ネロで使える
- 隣の「ラーゴ・ディ・カルダーロ」のクラッシコとクラッシコ・スペリオーレには、「アルト・アディジェ」を追加表示として付けることが認められている
この産地でわかったこと
ひとつのDOCの中に約40のタイプと6つのサブゾーンが入っていて、サブゾーンごとに使える品種のメニューが違います。なかでもヴァッレ・イザルコだけはフェルトリーナーとクラウスナー・ライタッハー(赤の伝統的なブレンドの名前)を持っていて、ここだけ品種の構成がほかのサブゾーンとつながっていません。もうひとつ、自分のDOCの名前を隣のDOCに「追加表示」として貸し出す条項があります。ラーゴ・ディ・カルダーロのクラッシコには「アルト・アディジェ」を付けてよい。産地名の階層が入れ子ではなく相互参照になっているという、当サイトでは珍しい構造です。そしてロゼに「クレッツァー」というドイツ語の伝統名が用意されていて、イタリア語3通りとドイツ語1通りの4通りの呼び方が並列で合法になっています。
出典
生産規定イタリア農業・食料主権・森林省(Masaf)— Alto Adige / Südtirol DOP 統合版生産規定
https://www.masaf.gov.it/flex/cm/pages/ServeBLOB.php/L/IT/IDPagina/22497DM 8 ottobre 2024 の統合版。第1条 タイプとサブゾーン、第2条 品種構成(2026年10月6日に確認)「Possono concorrere fino a un massimo del 15% le uve di altri vitigni a bacca di colore analogo idonei alla coltivazione nella Provincia autonoma di Bolzano」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。