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ドイツ / g.U.

アール

Ahr

アール川沿い、アルテナールとバート・ノイエンアールの間の約18kmだけに畑が集まる。赤ワインの産地なのに、規定は赤品種にリースリングより10°Oe高いハードルを課している。

規定に名前が出てくる品種

ドイツの製品仕様書には品種の比率規定がありません。縛っているのは収量上限と最低果汁糖度(Mostgewicht、単位は°Oechsle=エクスレ度)の2つだけです。最低糖度は「品種グループ×プレディカート(肩書き)の段階」という二次元の表になっていて、どの品種を名指しで低く/高く扱うかに、その産地の性格が出ます。仕様書には品種の一覧表もありますが、これは複数の産地で番号も順序も同一の全国共通リストなので、当サイトでは「その産地の主要品種」として扱っていません。以下に挙げているのは、最低糖度の表が名指ししている品種です。

黒ぶどう・共通

規定の要点

  • ライン粘板岩山地の北部、東アイフェルの中。アール川沿いのアルテナールとバート・ノイエンアールの間、約18kmの区間に畑が集まる
  • 谷底の標高は西の150mから東の100mへ下がる。地質は上部ジーゲン期の砂岩(グラウヴァッケ)主体で粘板岩が従。西部は硬い灰色の岩盤、東部は深く風化したサプロライト
  • 品種の比率規定はない
  • 収量上限は100 hl/ha
  • クヴァリテーツヴァインの最低糖度はリースリング55°Oe、ヴァイスブルグンダー/ルーレンダー/フリューブルグンダー/ミュラーレーベ/シュペートブルグンダーが65°Oe、ドルンフェルダー68°Oe、その他60°Oe
  • カビネットは白76°Oe/赤80°Oe
  • シュペートレーゼはヴァイスブルグンダー・ミュラー・トゥルガウ・リースリング80°Oe/その他の白87°Oe/赤85°Oe
  • アウスレーゼはヴァイスブルグンダー・ミュラー・トゥルガウ・リースリング88°Oe/その他の白93°Oe/赤90°Oe
  • ベーレンアウスレーゼとアイスヴァインは110°Oe、トロッケンベーレンアウスレーゼは150°Oe
  • プレディカーツヴァインは補糖禁止

この産地でわかったこと

リースリングの55°Oeは当サイトのドイツの産地で最も低い数字です。そのいっぽうで、シュペートブルグンダー系には65°Oe——10°Oeも高い値が課されています。赤ワインで知られる産地が、赤品種に高いハードルを置いている。「赤は熟してから摘め」という設計が、そのまま数字に出ているわけです。ナーエが赤をむしろ低いほうに置いているのと正反対で、同じドイツでも赤の扱いの向きが産地ごとに違うことがわかります。ベーレンアウスレーゼが110°Oeで、フランケンの125°Oeより低いところも、甘口より赤を軸にした産地であることを示しています。

出典

生産規定欧州委員会 eAmbrosia — Ahr 製品仕様書(Technische Unterlage)
https://webgate.ec.europa.eu/eambrosia-api/api/v1/attachments/11645PDO-DE-A0867、Ares(2011)1369064(2011年12月16日)。第5.1.1〜5.1.2.6節(最低糖度)(2026年10月6日に確認)「Der Hektarhöchstertrag ist auf 100 hl/ha festgesetzt.」

規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。