2024年に全面的に書き換えられたDAC。2025年産から有機またはNachhaltig Austriaの認証が義務になった、オーストリアで初めての産地。
規定で認められている品種
生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。
白ぶどう
- グリューナー・フェルトリーナー原文表記: Grüner Veltliner
- リースリング原文表記: Riesling
- シャルドネ品種名は Hauptetikett にしか書けない / 原文表記: Chardonnay
- ピノ・ブラン(ヴァイスブルグンダー)品種名は Hauptetikett にしか書けない / 原文表記: Weißburgunder
- ピノ・グリ(グラウブルグンダー)品種名は Hauptetikett にしか書けない / 原文表記: Grauburgunder
規定の要点
- 品種は5つ(グリューナー・フェルトリーナー/リースリング/シャルドネ/ヴァイスブルグンダー/グラウブルグンダー)。単一品種でもキュヴェでもよく、3つの階層すべてで同じ5品種
- 2025年産から、有機認証または「Nachhaltig Austria」認証を受けたぶどうを使うことが義務
- 階層はゲビーツヴァイン(地域名)/オルツヴァイン(村名)/リーデンヴァイン(単一畑)の3つ。オルツヴァインは12の指定地区、リーデンヴァインは州法で告示された畑
- ゲビーツヴァインはラベルに「カンプタール」より小さい産地を書いてはならない。リーデンヴァインは畑名を表ラベル(Schauetikett)と法定ラベル(Hauptetikett)の両方に書く義務
- シャルドネ/ヴァイスブルグンダー/グラウブルグンダーの品種名は Hauptetikett にしか書けない(=表ラベルに立てるのはグリューナー・フェルトリーナーとリースリングだけ)
- 表示する実効アルコール度数はゲビーツヴァインが11.5〜12.5%vol(上限がある)、オルツヴァインとリーデンヴァインは12.0%vol以上
- 残糖は総酸(g/L)を超えてはならないという相対的な規定
- 申請解禁はゲビーツヴァインが収穫翌年1月1日、オルツヴァインが2月1日(消費者への引き渡しは3月1日以降)、リーデンヴァインが4月1日、レゼルヴェが収穫の翌々年7月1日から
- 最低果汁糖度15°KMW、収量10,000kg/ha(7,500L/ha)はDAC法令ではなく製品仕様書に書かれている
この産地でわかったこと
2025年産から有機またはNachhaltig Austriaの認証が義務になりました。オーストリアのDACで、認証を階層の条件に持ち込んだのはこれが初めてです。しかも免除の規定が細かく、年産5,000L未満の生産者は免除、6,000kg以下のぶどう生産者から買う場合は非認証でもよいがその比率は全体の15%まで。法令が「小規模ならよい」を数値で書いています。もうひとつ、ラベルの階層が上にも下にも封鎖されているのが面白いところ。ゲビーツヴァインは村名を書けず、オルツヴァインは畑名を書けず、リーデンヴァインは畑名を2つのラベル両方に書かなければならない。上位の産地名が下位の地名を借りることを禁じる設計です。そのうえで、シャルドネ系3品種は法定ラベルにしか書けず、表ラベルに立てるのはグリューナー・フェルトリーナーとリースリングだけ——品種に序列をつけながら、使える品種そのものは階層で変えていません。
出典
生産規定オーストリア連邦法令情報システム(RIS)— DAC-Verordnung „Kamptal"
https://www.ris.bka.gv.at/GeltendeFassung.wxe?Abfrage=Bundesnormen&Gesetzesnummer=20012689BGBl. II Nr. 250/2024(Weinrecht-Sammelverordnung 2024、2024年9月17日施行)の統合版。品種、3階層、認証義務、表示アルコール度数、ラベル規則、申請解禁日(2026年10月6日に確認)「Ab der Ernte im Jahr 2025 sind für die Herstellung des Weins Trauben zu verwenden, die aus zertifiziert biologischer Produktion stammen oder der Zertifizierung „Nachhaltig Austria" entsprechen.」
生産規定オーストリア連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)— Produktspezifikation Kamptal
https://www.bmluk.gv.at/dam/jcr:9034ac7d-a3bf-4c58-9d3a-24acc5f18df9/Produktspezifikation_Kamptal.pdfEU登録用の製品仕様書。最低果汁糖度15°KMW、収量、補糖の上限はこちらに書かれている
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。