ウィラメット・ヴァレー(Willamette Valley)はアメリカのAVA。制度として品種を定めていない。当サイトは一次資料3件から引いている。
ピノ・ノワールが作付の約68%を占める。AVA自体は境界の指定だが、オレゴン州規則が単一品種名の表示に連邦基準の75%より厳しい90%を課しており、ピノ・ノワールとピノ・グリはこの90%が適用される。
実際に多く植えられている品種
AVAは境界を定めただけの地理的指定で、植えてよい品種の限定はありません。ただしこの産地には、オレゴン州規則という上乗せがあります。単一品種名をラベルに書くには、連邦基準の75%ではなく90%以上が必要で、ピノ・ノワールとピノ・グリはこの90%が適用されます。以下は規定の列挙ではなく、栽培面積の実態です。
黒ぶどう・共通
- ピノ・ノワール67.6% / 22,736エーカー/2024年。州規則で90%表示
- シラー1.0% / 325エーカー/2024年。例外品種で75%表示
- ガメイ0.7% / 226エーカー/2024年
- テンプラニーリョ0.3% / 99エーカー/2024年。例外品種で75%表示
白ぶどう
- ピノ・グリ16.5% / 5,568エーカー/2024年。州規則で90%表示
- シャルドネ8.3% / 2,807エーカー/2024年。州規則で90%表示
- リースリング0.9% / 319エーカー/2024年。州規則で90%表示
- ピノ・ブラン0.8% / 274エーカー/2024年
制度上の位置づけ
- オレゴン州規則 OAR 845-010-0915 は、単一品種名を表示する場合にその品種由来90%以上を要求する。連邦基準の75%より厳しい
- ただしカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー、シラー、テンプラニーリョなど18品種は例外で75%
- AVA自体は境界の指定であり、連邦規則に使用品種の限定リストはない
- AVA名の表示には、そのAVA産ぶどう85%以上が必要(27 CFR 4.25(e))
この産地でわかったこと
AVA自体は境界の指定ですが、オレゴン州が連邦基準より厳しい90%を単一品種表示に課しています(ピノ・ノワールとピノ・グリが該当)。カベルネ・ソーヴィニヨンなど18品種は例外で75%のまま。州が連邦に上乗せするという構造は、アメリカの中でも珍しいものです。
出典
統計・制度Oregon Administrative Rules(OAR 845-010-0915/条文公開版)
https://oregon.public.law/rules/oar_845-010-0915州規則の90%ルール。公式サイト secure.sos.state.or.us は robots.txt により取得できず、条文公開版から引用「A person may use a single grape variety name as a type designation on a wine brand label only if the wine derives at least 90 percent of its volume from that grape variety.」
統計・制度Oregon Wine Board(オレゴン・ワイン・ボード)
https://industry.oregonwine.org/wp-content/uploads/2024-Oregon-Vineyard-Winery-Census-Final.pdf2024 Oregon Vineyard and Winery Census。North / South Willamette Valley の合計値「2024 Oregon Vineyard and Winery Census」
統計・制度eCFR(米国政府出版局)
https://www.ecfr.gov/current/title-27/chapter-I/subchapter-A/part-4/subpart-C/section-4.25AVA名表示の85%要件「Not less than 85 percent of the wine is derived from grapes grown within the boundaries of the viticultural area.」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。