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アメリカ / AVA

ロシアン・リヴァー・ヴァレー

Russian River Valley

ロシアン川の切れ目から早朝に侵入する霧が、この産地をひとつにまとめている。拡張規則は霧を「最も統一的で重要な特徴」と呼んだ。2011年の拡張で169,028エーカーになり、2つの子AVAを完全に内包する。

規定に名前が出てくる品種

アメリカのAVA(American Viticultural Area)は、品種も収量も最低アルコール度数も縛りません。27 CFR 9.12 が申請者に求めるのは、①その名称が実際にぶどう栽培地と結びついていることの証拠、②境界をそこに引く根拠、③気候・地質・土壌・地形・標高の識別的特徴、④USGS地形図に境界を描き込んだもの——この4つだけです。AVA名が効いてくるのはラベルの側で、27 CFR 4.25(e)(3)(ii) が「そのAVAの境界内で育ったぶどうが85%以上」と定めています。品質の規格ではなく、原産地の真正性の規格です。したがって以下に品種を挙げている場合、それは制定時の最終規則が栽培の実態として記述している品種であって、規定上の義務ではありません。

黒ぶどう・共通

  • ピノ・ノワール制定時の最終規則に挙がっている品種。規定上の義務ではない
  • シャルドネ制定時の最終規則に挙がっている品種。規定上の義務ではない
  • ピノ・グリ制定時の最終規則に挙がっている品種。規定上の義務ではない

規定の要点

  • 27 CFR § 9.66。T.D. ATF-159、48 FR 48813(1983年10月21日)。2003年・2005年・2011年(T.D. TTB-97、76 FR 70877)に拡張
  • 承認地図はUSGSの7.5分図12枚。境界は40区間。起点はロシアン川に架かるヒールズバーグ・アヴェニュー橋。道路名と小川名を連ねるタイプ
  • 面積は1983年の原規則が「約150平方マイル」。2011年の拡張規則が現況を154,984エーカーと更新し、14,044エーカーを追加して169,028エーカー(約9%増)になった
  • ロシアン・リヴァー・ヴァレーは、南端の部分を除いてノーザン・ソノマAVAの内側にある。ノーザン・ソノマは大部分がソノマ・コーストAVAの内側にあり、ノーザン・ソノマとソノマ・コーストはどちらもノース・コーストAVAの内側に完全に含まれる
  • 子AVAを2つ完全に内包する。北東の隅にチョーク・ヒル、南西にグリーン・ヴァレー・オブ・ロシアン・リヴァー・ヴァレー
  • 1983年の原規則は気候を主たる識別要素と明言。「ロシアン川を遡って侵入する霧による冷涼な沿岸地域」
  • ウィンクラー積算温度は2,000〜2,800単位(沿岸・冷涼)。隣のアレクサンダー・ヴァレーは2,800〜3,500単位(沿岸・温暖)
  • 2011年の拡張規則は、ペタルマ・ギャップを通る霧の侵入で最大50°Fの気温降下、地質はウィルソン・グローヴ層の砂岩、土壌はゴールドリッジ=コタティ=セバストポルの土壌連合、標高75〜715フィートと記述
  • AVAは品種も収量も最低アルコール度数も縛らない
  • ラベル表示は連邦の85%+カリフォルニア州内で全面的に仕上げること

この産地でわかったこと

この産地をまとめているのは地形でも土壌でもなく、霧です。2011年の拡張規則は霧を「最も統一的で重要な特徴」と呼び、ペタルマ・ギャップを通って入ってくる霧が最大50°Fの気温降下をもたらすと書いています。積算温度で言えば2,000〜2,800単位の「沿岸・冷涼」で、隣のアレクサンダー・ヴァレーの2,800〜3,500単位とは区分がひとつ違う。つまり境界線は「霧がどこまで届くか」の線です。親子関係の書き方も面白くて、「南端の部分を除いてノーザン・ソノマの内側」「ノーザン・ソノマは大部分がソノマ・コーストの内側」と、どれも「完全に」とは言っていない。AVAの入れ子はきれいな階層ではなく、部分的に重なり合っています。

出典

生産規定電子連邦規則集(eCFR)— 27 CFR § 9.66 Russian River Valley
https://www.ecfr.gov/current/title-27/section-9.66名称・承認地図・境界の条文と改正履歴(2026年10月6日に確認)

生産規定アルコール・タバコ税貿易局(TTB)— Russian River Valley 最終規則
https://www.ttb.gov/system/files/images/pdfs/Russian_River_Valley_final_rule.pdfT.D. ATF-159、48 FR 48813(1983年10月21日)。積算温度と気候の根拠(2026年10月6日に確認)

生産規定連邦官報(Federal Register)— ロシアン・リヴァー・ヴァレーとノーザン・ソノマの拡張
https://www.federalregister.gov/documents/2011/11/16/2011-29519/expansions-of-the-russian-river-valley-and-northern-sonoma-viticultural-areasT.D. TTB-97、76 FR 70877(2011年11月16日)。面積・親子関係・霧の記述(2026年10月6日に確認)「The current Russian River Valley viticultural area, with the exception of its southern tip, lies within the Northern Sonoma viticultural area.」

規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。