レッド・マウンテン(Red Mountain)はアメリカのAVA。規定は品種の比率を定めていない。当サイトは一次資料2件から引いている。
約4,040エーカー、うちぶどう畑は約600エーカー。境界に用水路と送電線を使っている。ワシントン州で最も早く収穫される産地で、最冷涼地点との平均気温差は3.92〜5.61度。
規定に名前が出てくる品種
アメリカのAVA(American Viticultural Area)は、品種も収量も最低アルコール度数も縛りません。27 CFR 9.12 が申請者に求めるのは、①その名称が実際にぶどう栽培地と結びついていることの証拠、②境界をそこに引く根拠、③気候・地質・土壌・地形・標高の識別的特徴、④USGS地形図に境界を描き込んだもの——この4つだけです。AVA名が効いてくるのはラベルの側で、27 CFR 4.25(e)(3)(ii) が「そのAVAの境界内で育ったぶどうが85%以上」と定めています。品質の規格ではなく、原産地の真正性の規格です。したがって以下に品種を挙げている場合、それは制定時の最終規則が栽培の実態として記述している品種であって、規定上の義務ではありません。
制定時の資料に挙がっている品種と、積算温度(degree days)は取得できませんでした。最終規則に品種名の記載が一切なく(2回確認)、積算温度の数値もありません(気温差3.92〜5.61度の記述のみ)。
規定の要点
- 27 CFR § 9.167。T.D. ATF-448、66 FR 18545(2001年4月10日)。改正なし
- ワシントン州ベントン郡
- 条文が「ヤキマ・ヴァレーAVAの内側に完全に含まれる」と明記している
- 承認地図はUSGSの7.5分図「Benton City, Washington」1974年の1枚だけ
- 境界は11点。560フィート等高線・700フィート等高線・用水路(aqueduct)・山頂・標高点・小川の河床・送電線・測量区画の境界をたどる
- 面積は約4,040エーカー、うち約600エーカーがぶどう畑。制定時のぶどう園は13件、最古は1975年の植栽
- 土壌の優越連合はウォーデン=シャノ(ウォーデン・シルトローム、ヘーゼル・ローミー・ファインサンド、スクーテニー・シルトローム、キオナ・ヴェリー・ストーニー・シルトローム)。「軽く排水が良い」ため樹にストレスがかかる。周囲のヤキマ・ヴァレーはウェアマン=アシュー/ハーウッド=ゴースト=セラー/リッツヴィル=スターバックで異なる
- 1995〜1999年のデータでベントン・シティが一貫して最温暖。域内最冷涼のグリードとの平均気温差は3.92〜5.61度。ワシントン州で最も早く収穫される
- ぶどう園の標高は約600〜1,000フィート。南西向きの斜面
- レッド・マウンテンとラトルスネイク・リッジの間の切れ目からカナダ起源の冷気が南下し、ヤキマ川の北流も気流を生む。昼の高温で糖度が、夜の低温で酸が保たれる
- AVAは品種も収量も最低アルコール度数も縛らない
- ラベル表示は連邦の85%。「Washington」の語がラベルに現れるとワシントン州法 RCW 66.28.110 により95%
この産地でわかったこと
用水路と送電線を境界に使っている——当サイトのAVAでここだけです。560フィートと700フィートの等高線をたどりながら、途中で用水路に乗り、送電線に乗る。パソ・ロブレスが測量の格子で、オークヴィルが500フィート等高線で切るのに対して、レッド・マウンテンは人が引いたインフラの線を使っています。承認地図が1枚だけというのも当サイト最少で、サンタ・クルーズ・マウンテンズの24枚と正反対です。気候の立論も面白くて、絶対値ではなく域内の最温暖地点と最冷涼地点の差(3.92〜5.61度)で示している。レッド・マウンテンはヤキマ・ヴァレーの内側にあり、そのヤキマ・ヴァレーはコロンビア・ヴァレーの内側にあります。当サイトで唯一、三重の入れ子がすべて一次資料で裏づけられる産地です。
出典
生産規定電子連邦規則集(eCFR)— 27 CFR § 9.167 Red Mountain
https://www.ecfr.gov/current/title-27/section-9.167名称・承認地図・境界・親AVAの明記(2026年10月6日に確認)「The Red Mountain viticultural area is located within Benton County, Washington, entirely within the existing Yakima Valley viticultural area.」
生産規定連邦官報(Federal Register)— レッド・マウンテンAVAの設定
https://www.federalregister.gov/documents/2001/04/10/01-8795/red-mountain-viticultural-area-99r-367pT.D. ATF-448、66 FR 18545(2001年4月10日)。面積・土壌・気温差・標高(2026年10月6日に確認)
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。