サンタ・クルーズ・マウンテンズ(Santa Cruz Mountains)はアメリカのAVA。規定は品種の比率を定めていない。当サイトは一次資料2件から引いている。
承認地図24枚は当サイトのAVAで最多。等高線を400/600/800フィートと場所によって使い分けていて、その理由が最終規則に書かれている数少ない例。
規定に名前が出てくる品種
アメリカのAVA(American Viticultural Area)は、品種も収量も最低アルコール度数も縛りません。27 CFR 9.12 が申請者に求めるのは、①その名称が実際にぶどう栽培地と結びついていることの証拠、②境界をそこに引く根拠、③気候・地質・土壌・地形・標高の識別的特徴、④USGS地形図に境界を描き込んだもの——この4つだけです。AVA名が効いてくるのはラベルの側で、27 CFR 4.25(e)(3)(ii) が「そのAVAの境界内で育ったぶどうが85%以上」と定めています。品質の規格ではなく、原産地の真正性の規格です。したがって以下に品種を挙げている場合、それは制定時の最終規則が栽培の実態として記述している品種であって、規定上の義務ではありません。
総面積は条文にも最終規則にも記載がありません(2回確認)。本文に出てくる「8エーカー」「11エーカー」「15〜20エーカー」は境界に関する個別の申請を議論した数値で、AVAの面積ではありません。降水量も「周囲よりはるかに多い」という定性的な記述だけで数値がありません。承認地図24枚の年号も、条文に記載がありません(2回確認)。制定時の資料に挙がっている品種と積算温度も記載がありません。
規定の要点
- 27 CFR § 9.31。T.D. ATF-98、46 FR 59240(1981年12月4日)。改正なし
- カリフォルニア州サン・マテオ郡・サンタ・クララ郡・サンタ・クルーズ郡(3郡にまたがる)
- 承認地図は24枚(7.5分図23枚+「Santa Cruz, California」の5×11分図1枚)。当サイトのAVAで最多
- 境界はハイウェイ92・400フィート等高線・カナダ・ロード・ハイウェイ280・ハイウェイ84・マウンテン・ホーム・ロード・ポルトラ・ロード・600フィート等高線・レグナート・ロード・測量区画の線・ハイウェイ85・ピアース・ロード・800フィート等高線・ハイウェイ152・フェルトン・エンパイア・ロード・ハイウェイ9・ブル・クリークをたどる
- 等高線を400/600/800フィートと場所によって使い分けている。その理由を最終規則が明記している。「同じ地理的性格(気候・土壌・地形)を示す範囲を含めるために、等高線の高さを場所ごとに変えた」
- 等高線が境界として適切と判断されたのは、「識別的な地理的特徴と一致する場合」または「ぶどう栽培に適した地域と適さない地域を分ける場合」
- 土壌はフランシスカン頁岩で、サンフランシスコ以南のこの地域に固有。基盤岩の風化による残積土で「薄く石が多く、やや過剰に排水される」。貧栄養
- 気候は西側が太平洋の風と霧、東側がサンフランシスコ湾の緩和作用という東西二分
- 生育期間は300日を超える
- 降水量は「周囲の地域より平均してはるかに多い」(数値なし)
- AVAは品種も収量も最低アルコール度数も縛らない
この産地でわかったこと
等高線を使い分けた理由が規則に書かれている——これは当サイトのAVAでここだけです。400フィート、600フィート、800フィートと場所によって高さを変えていて、その理由を「同じ地理的性格を示す範囲を含めるため」と明記している。さらに、等高線が境界として適切なのは「識別的な地理的特徴と一致する場合」または「ぶどう栽培に適した地域と適さない地域を分ける場合」だ、とも書いています。つまり等高線は標高そのものが目的ではなく、同質の土地を囲うための道具である、という規定の思想がそのまま読める。ハウエル・マウンテンが1,400フィート1本で閉じていて理由を書いていないのと、ちょうど対になります。承認地図24枚も当サイト最多で、レッド・マウンテンの1枚と正反対です。気候の説明も「西は太平洋、東はサンフランシスコ湾」という東西二分で、ひとつのAVAの中に性格の違う2つの面があることを規則が認めています。
出典
生産規定電子連邦規則集(eCFR)— 27 CFR § 9.31 Santa Cruz Mountains
https://www.ecfr.gov/current/title-27/section-9.31名称・承認地図24枚・境界の条文(2026年10月6日に確認)
生産規定アルコール・タバコ税貿易局(TTB)— Santa Cruz Mountains 最終規則
https://www.ttb.gov/system/files/images/pdfs/Santa_Cruz_Mountains_final_rule.pdfT.D. ATF-98、46 FR 59240(1981年12月4日)。等高線を使い分けた理由・土壌・東西二分の気候・生育期間(2026年10月6日に確認)「Evidence was presented at the hearing that the contour lines varied to different levels to include an area exhibiting the same general geophysical characteristics, e.g. climate, soil, and topographic features.」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。