ビンゲンとボンの間、約110kmの細長い産地。ラインラント=プファルツ州とノルトライン=ヴェストファーレン州にまたがるため、同じ産地名なのに最低糖度の表が2本ある。ゼクト用のリースリングに51°Oeという最も低い枠がある。
規定に名前が出てくる品種
ドイツの製品仕様書には品種の比率規定がありません。縛っているのは収量上限と最低果汁糖度(Mostgewicht、単位は°Oechsle=エクスレ度)の2つだけです。最低糖度は「品種グループ×プレディカート(肩書き)の段階」という二次元の表になっていて、どの品種を名指しで低く/高く扱うかに、その産地の性格が出ます。仕様書には品種の一覧表もありますが、これは複数の産地で番号も順序も同一の全国共通リストなので、当サイトでは「その産地の主要品種」として扱っていません。以下に挙げているのは、最低糖度の表が名指ししている品種です。
黒ぶどう・共通
規定の要点
- ビンゲンとボンの間、隣接するジーベンゲビルゲを含めて約110kmの長さ。畑の標高は55〜350m、平均170m
- 地質はデヴォン紀の珪質砂岩と粘板岩が優勢。土壌型は褐色土とレゴソル。第三紀の火山岩(トラカイト・玄武岩・ラタイト)はケーニヒスヴィンター付近にのみ現れる
- 品種の比率規定はない
- 収量上限は105 hl/ha(州の区別なく一律)
- ラインラント=プファルツ州の畑:クヴァリテーツヴァインはリースリング55°Oe/ドルンフェルダー68°Oe/その他60°Oe。カビネットは白76°Oe・赤80°Oe。シュペートレーゼはリースリング80°Oe/その他の白85°Oe/赤87°Oe。アウスレーゼはリースリング88°Oe/その他93°Oe。ゼクトとヴィンツァーゼクトはリースリング51°Oe/その他57°Oe
- ノルトライン=ヴェストファーレン州の畑:クヴァリテーツヴァインはリースリング57°Oe/その他60°Oe。カビネットはリースリング70°Oe/その他73°Oe。シュペートレーゼはリースリング78°Oe/その他80°Oe。アウスレーゼはリースリング85°Oe/その他88°Oe。ゼクトはリースリング57°Oe/その他60°Oe
- ベーレンアウスレーゼとアイスヴァインは110°Oe、トロッケンベーレンアウスレーゼは150°Oe(両州共通)
- プレディカーツヴァインは補糖禁止
この産地でわかったこと
同じ産地名なのに、畑が州境のどちら側にあるかで最低糖度が変わります。カビネットのリースリングは、ラインラント=プファルツ側で76°Oe、ノルトライン=ヴェストファーレン側で70°Oe。6°Oeも低い。しかもベーレンアウスレーゼ以上は両州で揃うのに、カビネットからアウスレーゼまでの3段階だけが州で分かれる。ヴュルテンベルクも同じ構造(バイエルン州側はフランケンと同じ数値)で、ドイツでは州法が仕様書のなかに取り込まれていることがわかります。もうひとつ、ゼクト用のリースリングに51°Oeという枠があって、これは当サイトのドイツの産地で最も低い閾値です。泡の原料としてのリースリングを、規定が名指しで優遇していることになります。
出典
生産規定欧州委員会 eAmbrosia — Mittelrhein 製品仕様書(Technische Unterlage)
https://webgate.ec.europa.eu/eambrosia-api/api/v1/attachments/11672PDO-DE-A1269、Ares(2011)1395913(2011年12月21日)。第5.1節(ラインラント=プファルツ州)、第5.2節(ノルトライン=ヴェストファーレン州)(2026年10月6日に確認)「befindet sich zwischen Bingen und Bonn mit dem angrenzenden Siebengebirge auf einer Länge von über ca. 110 km」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。