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アメリカ / AVA

ダンディー・ヒルズ

Dundee Hills

オレゴン州ヤムヒル郡、6,490エーカー。コロンビア川玄武岩由来の赤い土壌「ジョリー(Jory)」が約8割を占める。オレゴン州法が連邦の85%を95%に、品種表示の75%を90%に引き上げている。

規定に名前が出てくる品種

アメリカのAVA(American Viticultural Area)は、品種も収量も最低アルコール度数も縛りません。27 CFR 9.12 が申請者に求めるのは、①その名称が実際にぶどう栽培地と結びついていることの証拠、②境界をそこに引く根拠、③気候・地質・土壌・地形・標高の識別的特徴、④USGS地形図に境界を描き込んだもの——この4つだけです。AVA名が効いてくるのはラベルの側で、27 CFR 4.25(e)(3)(ii) が「そのAVAの境界内で育ったぶどうが85%以上」と定めています。品質の規格ではなく、原産地の真正性の規格です。したがって以下に品種を挙げている場合、それは制定時の最終規則が栽培の実態として記述している品種であって、規定上の義務ではありません。

黒ぶどう・共通

  • ピノ・ノワール制定時の最終規則に挙がっている品種。規定上の義務ではない
  • ピノ・グリ制定時の最終規則に挙がっている品種。規定上の義務ではない

規定の要点

  • 27 CFR § 9.180。T.D. TTB-18、69 FR 69527(2004年11月30日)。施行2005年1月31日。改正なし
  • 承認地図はUSGSの1:24,000図3枚(ダンディー/ニューバーグ/デイトン)
  • 条文が「ウィラメット・ヴァレーAVAの内側に完全にある」と明記している
  • 境界は4区間。200フィートの等高線と道路の交点と小川(キューネ・ロード/ヘス・クリーク/アビー・ロード/ミリカン・クリーク)をたどる
  • 面積は6,490エーカー。申請時点(2002年)で1,264エーカーが植栽済み、さらに800エーカーが将来の圃場用に利用可能、圃場44か所
  • 土壌が決定的な根拠。ジョリー(Jory)系統が約80%を占め、コロンビア川玄武岩由来の赤いシルト・粘土・ローム。「中程度に肥沃で排水良好、侵食はわずかから中程度」。西側の急斜面には堆積岩由来のウィラケンジー系統
  • 年降水量は30〜45インチ。最終規則は隣接するコースト・レンジの90〜135インチと対比し、「ダンディー・ヒルズはその3分の1ほど」と書いている
  • 積算温度は隣のヤムヒル=カールトン地区より150単位多い
  • 標高は200フィートの等高線から最高地点1,067フィートまで
  • AVAは品種も収量も最低アルコール度数も縛らない
  • ラベル表示は連邦の85%(27 CFR 4.25(e)(3)(ii))。ただしオレゴン州 OAR 845-010-0920(2) により、ダンディー・ヒルズ産95%以上+残り5%もオレゴン州産100%
  • 品種表示はオレゴン州 OAR 845-010-0915(1) により90%以上(連邦の75%=27 CFR 4.23(b)より厳しい)。75%でよい例外18品種にピノ・ノワールは入っていない
  • オレゴン州 OAR 845-010-0920(1) は、原産地呼称をすべてのワインのブランドラベルに表示することを義務づけている(連邦にはない上乗せ)

この産地でわかったこと

この産地はコロンビア川玄武岩の上に立っています。ジョリー系統という赤い土壌が約8割を占め、これが承認の決定的な根拠になりました。気候の立論も隣との差で行われていて、年降水量はコースト・レンジの3分の1、積算温度はヤムヒル=カールトンより150単位多い。面白いのはラベルの規則です。オレゴン州は品種表示の最低比率を連邦の75%から90%に引き上げていますが、75%でよい例外18品種にピノ・ノワールは入っていません。例外はカベルネ系・メルロー・シラー・ジンファンデルといったボルドー/ローヌ/イタリア系が中心で、オレゴンの看板品種にこそ90%が課されていることになります。さらに原産地呼称の表示そのものが義務(連邦では任意)で、コロンビア・ヴァレーのワシントン州法が「Washington」の語を引き金にするのとはまったく違う発動の仕組みです。親AVAであるウィラメット・ヴァレーの内側にあることは、最終規則だけでなく条文そのものに書かれています。

出典

生産規定電子連邦規則集(eCFR)— 27 CFR § 9.180 Dundee Hills
https://www.ecfr.gov/current/title-27/section-9.180名称・承認地図・境界・親AVAの明記(2026年10月6日に確認)「is entirely within the Willamette Valley viticultural area」

生産規定連邦官報(Federal Register)— ダンディー・ヒルズAVAの設定
https://www.federalregister.gov/documents/2004/11/30/04-26330/establishment-of-the-dundee-hills-viticultural-area-2002r-218pT.D. TTB-18、69 FR 69527(2004年11月30日)。面積・ジョリー土壌・降水量・標高(2026年10月6日に確認)

生産規定オレゴン州行政規則(OAR)845-010-0915 / 0920 — 品種表示と原産地呼称
https://oregon.public.law/rules/oar_845-010-0920州内AVAは95%+州産100%、品種表示は90%(例外18品種は75%、ピノ・ノワールは例外に含まれない)(2026年10月6日に確認)

規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。