シチリアで唯一のDOCG。ネーロ・ダーヴォラ50〜70%、フラッパート30〜50%と品種比率が上下の両端で縛られていて、どちらの品種も単独では多すぎても少なすぎてもいけない。
規定で認められている品種
生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。
黒ぶどう・共通
- ネーロ・ダーヴォラ(カラブレーゼ)50〜70%
- フラッパート30〜50%
規定の要点
- シチリア州のラグーサ/カルタニッセッタ/カターニア3県にまたがる約124,500 ha
- 標高を3帯に区分して明記。沿岸は平均0〜200m、中丘陵は200〜350m、高丘陵は平均350m超
- 土壌を構成比つきで規定。砂質・礫質の褐色土15%/石灰質砂岩起源の溶脱褐色土=テラ・ロッサ50%/褐色土・バーティック土25%/河川沿いと谷底の沖積土10%
- 品種比率はネーロ・ダーヴォラ50〜70%、フラッパート30〜50%
- 収量上限は専用栽培で8 t/ha
- ぶどうからワインへの歩留まりは65%を超えてはならない(52 hl/haに相当)
- 最低自然アルコール度数は12.50%vol、消費時の最低総アルコール度数も12.50%vol(両タイプ共通)
- 通常版は収穫の翌年6月1日から、クラッシコは翌々年3月31日から出荷できる
- 規定の承認後に植えた畑は1haあたり最低4,000株
- いかなる強制栽培も禁止。救済灌漑は認められる
- 醸造と瓶詰めは第3条の生産地域内で行わなければならない
- クラッシコのゾーンは1973年の大統領令で区切られた旧ゾーンに限る。ラグーサ県5コムーネは全域、ジェーラ/ニシェーミ/カルタジローネ/リコディア・エウベーアはcontrada名と地籍の foglio 番号で指定されている
この産地でわかったこと
比率が上下の両端で縛られているのがこの産地の核心です。ネーロ・ダーヴォラは50%未満でも70%超でもだめ、フラッパートは30%未満でも50%超でもだめ。つまり規定として単一品種化を構造的に禁止していることになります。コート・ド・プロヴァンスが「単一品種90%超を禁止」という形で同じ思想を書いているのに対し、ここは2品種のレンジ指定で同じことをやっている。もうひとつ、クラッシコは中身の規定が通常版とまったく同じで、時間だけが違う。品種・収量・アルコール度数は同一で、出荷解禁が「翌年6月1日」対「翌々年3月31日」。バローロ38か月とバルバレスコ26か月、アルーダの赤14か月と同じ型です。クラッシコのゾーンの書き方も異様に細かく、1973年の大統領令で区切られた旧ゾーンを地籍の図面番号で参照している。マッツァローネだけは1976年の州法で新設されたため、旧い地籍コードで書かれています。
出典
生産規定イタリア農業・食料主権・森林省(Masaf)— Cerasuolo di Vittoria DOP 統合版生産規定
https://www.masaf.gov.it/flex/cm/pages/ServeBLOB.php/L/IT/IDPagina/15124D.M. 17 febbraio 2020 の統合版。第2条(品種比率)、第3条(地理・土壌)、第4条(収量・最低自然アルコール)、第5条(歩留まり・出荷解禁)、第6条(総アルコール)(2026年10月6日に確認)「dal 50% al 70% di Nero d'Avola e dal 30% al 50% di Frappato」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。