ハウエル・マウンテン(Howell Mountain)はアメリカのAVA。規定は品種の比率を定めていない。当サイトは一次資料2件から引いている。
境界がほぼ全周1,400フィートの等高線だけで閉じる。当サイトのAVAで最も簡素な境界の引き方。年降水量40.74インチは周囲より明確に多い。
規定に名前が出てくる品種
アメリカのAVA(American Viticultural Area)は、品種も収量も最低アルコール度数も縛りません。27 CFR 9.12 が申請者に求めるのは、①その名称が実際にぶどう栽培地と結びついていることの証拠、②境界をそこに引く根拠、③気候・地質・土壌・地形・標高の識別的特徴、④USGS地形図に境界を描き込んだもの——この4つだけです。AVA名が効いてくるのはラベルの側で、27 CFR 4.25(e)(3)(ii) が「そのAVAの境界内で育ったぶどうが85%以上」と定めています。品質の規格ではなく、原産地の真正性の規格です。したがって以下に品種を挙げている場合、それは制定時の最終規則が栽培の実態として記述している品種であって、規定上の義務ではありません。
1,400フィートという高さを選んだ理由は、最終規則に明示的な説明がありません。また制定時の資料に挙がっている品種と積算温度も記載がなく、取得できませんでした(いずれも2回確認)。
規定の要点
- 27 CFR § 9.94。T.D. ATF-163、48 FR 57487(1983年12月30日)。改正は T.D. ATF-249、52 FR 5960(1987年2月27日)
- カリフォルニア州ナパ郡
- 条文が「ナパ・ヴァレーAVAの一部である」と明記している
- 承認地図は4枚(Detert Reservoir/Aetna Springs/Calistoga/St. Helena)
- 境界はほぼ全周が1,400フィート等高線。1,400フィート等高線を南東へ、セクション23の南東隅まで、同じ等高線を北西へ、セクション21と22の境界線と交わる点まで、そこからセクション線を北上して起点へ戻る
- 面積は約14,080エーカー、ぶどう198エーカー、ボンデッドワイナリー2件(1983年時点)
- 標高は1,400〜2,200フィート
- 年降水量は40.74インチ。ポープ・ヴァレーの32.1インチ、ナパ・ヴァレー(セント・ヘレナ)の35.4インチより明確に多い
- 土壌は大部分がエイケンとフォワードのグループ。ナパの谷床ではあまり見られない土壌
- 地形はポープ・ヴァレーの南西に位置する「比較的平坦なテーブルトップ」
- AVAは品種も収量も最低アルコール度数も縛らない
- ラベル表示は連邦の85%+カリフォルニア州内で全面的に仕上げること。加えて州法 B&P Code § 25241 によりナパ郡の呼称を併記しなければならない
この産地でわかったこと
境界が1本の等高線だけでほぼ閉じる——当サイトのAVAで最も簡素な引き方です。1,400フィートの等高線を一周して、最後に測量区画の線で閉じるだけ。レッド・マウンテンの11点、ラザフォードの15区間、サンタ・クルーズ・マウンテンズの長大な道路の列挙と比べると、ほとんど一行です。ただしなぜ1,400フィートなのかは最終規則に書かれていません。対照的にサンタ・クルーズ・マウンテンズは、等高線を400/600/800フィートと場所によって使い分けた理由を規則の中で説明しています。この産地の性格は年降水量40.74インチという数字に出ています。すぐ下のナパ・ヴァレー(セント・ヘレナ)が35.4インチ、隣のポープ・ヴァレーが32.1インチですから、山の上のほうが雨が多い。同じナパ郡でも、条文に親AVAの明記があるのがこの産地で、ラザフォードやオークヴィルにはそれがありません。
出典
生産規定電子連邦規則集(eCFR)— 27 CFR § 9.94 Howell Mountain
https://www.ecfr.gov/current/title-27/section-9.94名称・承認地図・境界・親AVAの明記(2026年10月6日に確認)「The Howell Mountain viticultural area is located in Napa County, California, and is part of the Napa Valley viticultural area.」
生産規定アルコール・タバコ税貿易局(TTB)— Howell Mountain 最終規則
https://www.ttb.gov/system/files/images/pdfs/Howell_Mountain_final_rule.pdfT.D. ATF-163、48 FR 57487(1983年12月30日)。面積・標高・降水量の比較・土壌(2026年10月6日に確認)
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。