アリーベス(Arribes)はスペインのDO。規定に17品種が列挙されている。当サイトは一次資料1件から引いている。
ドウロ川がポルトガル国境を刻む峡谷。数kmで標高差570m。オレンジワインを正式なタイプとして規定し、果皮浸漬7日以上を義務づけている。1980年より前に植えられた区画には、規定外の品種が混ざっていても認められる。
規定で認められている品種
生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。
植栽密度の規定はありません。生産規定の第7節にある「1haあたり2,000〜3,000株が伝統的」という記述は慣行の記述であって規定値ではありません(2回目の読みで「siendo lo tradicional=伝統的なのは」という言い回しを確認しました)。クリアンサ・レセルバ・グラン・レセルバの月数も本文になく、外部参照です(ロブレとフェルメンタド・エン・バリカの3か月は本文にあります)。主要品種と認可品種の区別も、この生産規定にはありません。
黒ぶどう・共通
- フアン・ガルシア赤(最多品種)
- ブルニャル赤
- ルフェテ赤
- テンプラニーリョ赤
- ガルナッチャ・ティンタ赤
- メンシア赤
- シラー赤
- バスタルディーリョ・チコ赤
- ティンタ・ヘロモ赤
- マンドン赤
- ガホ・アローバ赤
- マルヴァシア・カステリャーナ白
- ベルデホ白
- アルビーリョ・レアル白
- アルビーリョ・マヨール白
- プエスタ・エン・クルス白
- ティホネラ白
規定の要点
- PDO-ES-A0614。サラマンカ県とサモーラ県の2県にまたがる45市町村+一部地域の2市町村
- 標高130〜700m。「700mから、わずか数kmで海抜130mまで下がる」と規定が書いている
- 土壌は砂壌土で酸性(pH 5〜6)、石灰分が少なく、花崗岩・粘板岩由来、平均約30cmと浅く礫が多い
- ドウロ川が主で、トルメス川、ウセス川、ウエブラ川。地中海性・亜湿潤気候、年降水量575〜800mm、年日照2,680時間
- 主要品種と認可品種の区別はこの生産規定にはない(フアン・ガルシアを「最多品種」と記述しているのみ)
- 比率規定は色ごとに違う。白は認可品種95%以上/オレンジは認可白品種95%以上/ロゼは指定17品種のうち95%以上/赤は指定11黒品種の85%以上
- 1980年1月1日より前に植えられた区画に混植されているパロミノとガルナッチャ・グリは、規定外の品種だが使用が認められる
- 収量上限は黒品種7,000 kg/ha(50.40 hl/ha)、白品種10,000 kg/ha(72.00 hl/ha)
- 搾汁率はぶどう100 kgからワイン72リットル以下(例外時は最大74リットル)
- 最低アルコール度数は実際と潜在が全タイプで同値。白11.0%/オレンジ11.0%/ロゼ11.0%/赤(若)11.0%/赤(熟成)12.0%
- オレンジワインは果皮と7日以上浸漬させて造る
- 「ロブレ」の表示はオーク樽に3か月以上、「フェルメンタド・エン・バリカ」は発酵自体をオーク樽で行い3か月以上(=この2つだけ月数が規定の本文にある)
- クリアンサ/レセルバ/グラン・レセルバの月数は本文になく、現行法規への参照
- 最低総酸度を産地の特性として5.5 g/lと数値で明記している。瓶詰めは生産地域内
この産地でわかったこと
オレンジワインを正式なタイプとして規定しています。当サイトの185産地で、オレンジワインに分析値と官能値まで定めているのはここだけです。しかも果皮と7日以上浸漬させることという製法まで義務づけている。比率も「認可白品種95%以上」と白とは別に書かれています。もうひとつ、1980年より前に植えられた区画への救済条項が印象的です。パロミノとガルナッチャ・グリは規定の品種リストに入っていないのに、古い畑に混植されているものに限って使用が認められる。品種リストで機械的に切り捨てず、畑の歴史のほうを立てる設計です。地理の書き方も独特で、「700mから、わずか数kmで海抜130mまで下がる」。標高の幅ではなく落差のスピードで産地を説明しています。ドウロ川がポルトガル国境を刻む峡谷という地形が、そのまま文章になっています。
出典
生産規定カスティーリャ・イ・レオン州農業技術研究所(ITACyL)— DOP Arribes 生産規定 Rev 4.2
https://www.itacyl.es/documents/20143/342640/PCC+DOP+ARRIBES+Rev+4.2.pdf/8e184668-8b8c-5dd0-e6a3-9adab025a028?t=1781080480719PDO-ES-A0614。第2節(分析特性)、第3節(醸造・オレンジワインの浸漬)、第4節(地理)、第5節(収量)、第6節(品種・1980年前の区画の例外)、第7節(標高・土壌・気候)、第8節(表示・瓶詰め)(2026年10月6日に確認)「uvas procedentes de parcelas de viñedo plantadas con anterioridad al 1 de enero de 1980 en las que aparezcan intercaladas variedades no contempladas en el presente pliego (Palomino y Garnacha Gris)」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。