アブルッツォ州キエーティ県トッロ町、たった1コムーネだけのDOCG。標高の下限(80m)で切っていて、谷底を全部捨てている。使える標高帯は実質80〜228mの148mしかない。
規定で認められている品種
生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。
黒ぶどう・共通
- モンテプルチャーノロッソ・ロッソ・リゼルヴァで95%以上
- ペコリーノ90%以上
- パッセリーナ90%以上
規定の要点
- タイプはロッソ/ロッソ・リゼルヴァ/ペコリーノ/パッセリーナ
- 生産地域はトッロ町の行政区域全体のみ(アブルッツォ州キエーティ県)
- 標高80m未満の畑はぶどう畑台帳に登録できない。最高地点は約228m。湿った谷底の土地はすべて除外
- ロッソとロッソ・リゼルヴァはモンテプルチャーノ95%以上+アブルッツォ州での栽培に適した同色の他品種を最大5%
- ペコリーノとパッセリーナはそれぞれ90%以上+同色の他品種を最大10%
- 収量上限はロッソ12 t/ha、ロッソ・リゼルヴァ9 t/ha、ペコリーノ9 t/ha、パッセリーナ9 t/ha
- ぶどうからワインへの歩留まりは、補糖を含めて70%。70%を超えても75%以内なら、超過分はDOCGの権利を持たない
- 最低自然アルコール度数はロッソ12.00%vol/ロッソ・リゼルヴァ12.50%vol/ペコリーノ12.00%vol/パッセリーナ11.50%vol
- 消費時の最低総アルコール度数はロッソ13%vol/ロッソ・リゼルヴァ13.5%vol/ペコリーノ13%vol/パッセリーナ12.5%vol
- ロッソは収穫の翌々年1月1日から出荷できる。ロッソ・リゼルヴァは最低2年の熟成、うち6か月以上を木の容器で
- ペコリーノとパッセリーナは収穫の翌年1月1日から出荷できる
この産地でわかったこと
標高の「下限」で切っているのがこの産地の特徴です。80m未満の畑はぶどう畑台帳に登録できず、湿った谷底はすべて除外される。普通の産地は「上限」を切って高すぎる畑を外しますが、ここは低いところを捨てる。最高地点が約228mしかないので、使える標高帯は実質148mしかありません。行政区域ひとつだけのDOCGで、その中のさらに一部しか使えない。ロッソとロッソ・リゼルヴァの切り分け方も明快で、品種は同じモンテプルチャーノ95%以上なのに、収量が12 t/ha対9 t/ha(25%減)、熟成が「翌々年1月1日解禁」対「2年+木樽6か月」。バローロやチェラスオーロ・ディ・ヴィットーリアのクラッシコが時間だけで格を作るのに対して、ここは収量と時間の二軸で作っています。
出典
生産規定イタリア農業・食料主権・森林省(Masaf)— Terre Tollesi o Tullum DOP 統合版生産規定
https://www.masaf.gov.it/flex/cm/pages/ServeBLOB.php/L/IT/IDPagina/15566EU委員会の指摘を受けた統合版。第1条(タイプ)、第2条(品種比率)、第3条(生産地域・標高)、第4条(収量・歩留まり・最低自然アルコール)、第5条(熟成)、第6条(総アルコール)(2026年10月6日に確認)「sono da considerarsi idonei ai fini dell'iscrizione allo schedario solo i vigneti compresi nei territori di cui all'articolo 3 e con un'altitudine non inferiore agli 80 metri sul livello del mare」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。