ピコ(Pico)はポルトガルのDOP。規定に5品種が列挙されている。比率が決まっているのはアリント・ドス・アソーレス(テランテス・ダ・テルセイラ)(主要品種(合計85%以上))など5品種。当サイトは一次資料1件から引いている。
アゾレス諸島ピコ島。標高100m以下の土地だけが産地になる。溶岩の石を積んで作った「クライス」という石垣畑がユネスコの世界遺産。ポルトガルでは珍しく、比率規定(85%/15%)を持つ。
規定で認められている品種
生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。
黒ぶどう・共通
- アリント・ドス・アソーレス(テランテス・ダ・テルセイラ)主要品種(合計85%以上)
- ヴェルデーリョ主要品種(合計85%以上)
- テランテス・ド・ピコ主要品種(合計85%以上)
- ガレーゴ・ドウラード副品種(最大15%)
- マルヴァジア・フィナ(ボアル)副品種(最大15%)
規定の要点
- アゾレス諸島ピコ島。マダレーナ市の標高100m以下の区域、サン・ロケ(サンタ・ルジア全域とプライニャの一部)、ラジェス(ピエダーデの特定地区)
- 標高100m以下という上限が、産地の範囲の定義そのものに書かれている
- 主要品種を果汁の総量の85%以上、残りを副品種から。許可品種は5つ、すべて白
- 収量上限は色・タイプを問わず一律70 hl/ha
- 最低アルコール度数(実際)はワイン11%、リキュールワイン16%、発泡11.5%、過熟ぶどうのワイン12%
- 潜在アルコール度数はワイン10%、発泡のベースワイン9%、リキュールワイン12%、過熟ぶどうのワイン15%
- 総酸度は全タイプ46.6 mEq/L以上
- リキュールワインと過熟ぶどうのワインは36か月以上の熟成を経てからしか瓶詰めできない
- 仕立ては地這い(rasteira)、株仕立て、コルドンのいずれか
- 土壌は火山起源であまり発達しておらず、粗い礫を多く含む。溶岩盤(ラジード)
- ポルトガル最高峰のピコ山(2,351m)。冬は雨が多く夏は乾いてあまり暑くならない温帯気候
- 石を取り除いて壁にし、同時に防風もする「クライス(currais)」という石垣の区画。2004年にユネスコが「人類の文化的景観」として認定している
この産地でわかったこと
標高の「上限」で産地を定義しています。100m以下の土地だけ。普通の産地は「標高○m以上」と書いて高すぎる畑を外しますが、火山島では標高が上がるとぶどうが熟さないので向きが逆になります。テッレ・トッレージ(トゥッルム)が「80m未満は台帳に登録できない」と下限で切っているのと正反対です。そしてこの産地は、ポルトガルの基本形から外れています。当サイトのポルトガル20産地のうち、本土の17産地はどれも比率を書きません。アゾレスの3島(ピコ・ビスコイトス・グラシオーザ)だけが主要品種85%以上という比率規定を持っている。しかも許可品種が5つしかなく、全部白です。石垣の区画「クライス」は、溶岩の石を取り除いて壁にしたもので、畑を作る作業と防風林を作る作業が同じひとつの作業になっている。2004年にユネスコが文化的景観として認定しています。
出典
生産規定ポルトガル ブドウ・ワイン研究所(IVV)— DO Pico 生産規定
https://www.ivv.gov.pt/wp-content/uploads/2026/02/DO_Pico.pdfセクション3(最低アルコール度数・総酸度)、4(比率・潜在・収量・熟成・仕立て)、5(地理と標高の上限)、6(主要品種)、7(地理的要因とユネスコ)、9(副品種)(2026年10月6日に確認)「85% do volume total do mosto deve provir das castas identificadas no Quadro nº 2 (Castas Principais)」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。