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イタリア / DOC

マルサーラ

Marsala

シチリア西端トラーパニ県の酒精強化ワイン。熟成期間の起算点が収穫でも瓶詰めでもなく、酒精強化の調整(concia)が終わった日。そして琥珀色の「アンブラ」は、煮詰めモストを1%以上入れないと名乗れない。

規定で認められている品種

生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。

ヴェルジネ・リゼルヴァ(ソレラス・リゼルヴァ)の熟成年数は取得できませんでした。第1条にタイプ名は列挙されているのに、第6条に対応する年数が見つかりません。ヴェルジネ5年とヴェルジネ・ストラヴェッキオ10年は取れています。なお品種ごとの比率規定は存在しません。品種リストが「e/o(および/または)」の列挙になっていて、個別の最低%がありません。規定されている比率は、ルビーノへの白ぶどう混和の上限30%とアンブラの煮詰めモストの最低1%の2つだけです。

黒ぶどう・共通

  • グリッロオーロ・アンブラ
  • カタラットオーロ・アンブラ
  • アンソニカ(インツォリア)オーロ・アンブラ
  • ダマスキーノオーロ・アンブラ
  • ペッリコーネ(ピニャテッロ)ルビーノ
  • カラブレーゼ(ネーロ・ダーヴォラ)ルビーノ
  • ネレッロ・マスカレーゼルビーノ

規定の要点

  • 区分はフィーネ/スペリオーレ/スペリオーレ・リゼルヴァ/ヴェルジネ(ソレラス)/ヴェルジネ・リゼルヴァ/ヴェルジネ・ストラヴェッキオ。色はオーロ(金)・アンブラ(琥珀)・ルビーノ(ルビー)
  • トラーパニ県の全域。ただしパンテッレリア、ファヴィニャーナ、アルカモの3コムーネを除く
  • 畑は海に面した強い日照の土地で、乾いた痩せた土壌。粘土質のこともあり、成り立ちは珪質または石灰質
  • オーロとアンブラはグリッロ/カタラット/アンソニカ/ダマスキーノから。ルビーノはペッリコーネ/カラブレーゼ/ネレッロ・マスカレーゼから
  • ルビーノには白ぶどうを全体の30%まで混ぜられる
  • 収量上限は白品種10 t/ha、黒品種9 t/ha(=色で違う)
  • ぶどうからモストへの歩留まりは80%以下、ぶどうからベースワインへは75%以下
  • 最低自然アルコール度数は13.00%vol
  • 熟成はフィーネ最低1年/スペリオーレ最低2年/スペリオーレ・リゼルヴァ最低4年/ヴェルジネ(ソレラス)最低5年/ヴェルジネ・ストラヴェッキオ最低10年
  • 熟成期間は、酒精強化の調整(concia)が完了した日から数える
  • 熟成は木の容器で行う。できればオークかサクラ材。ただし最初の4か月は例外
  • 消費時の最低総アルコール度数はフィーネ17.50%vol/スペリオーレ18.00%vol/ヴェルジネ・ソレラス18.00%vol
  • 糖分区分はセッコ(還元糖40 g/l未満)/セミセッコ(40〜100 g/l)/ドルチェ(100 g/l超)
  • アンブラのフィーネとスペリオーレは、煮詰めモスト(mosto cotto)を1%以上入れなければならない
  • 消費できるマルサーラを得るためのすべての工程を生産地域内で行わなければならない
  • 酒精強化にはぶどう由来のエチルアルコールまたはワインの蒸留酒を加える

この産地でわかったこと

熟成期間の起算点が、収穫でも瓶詰めでもありません。「酒精強化の調整(concia)が完了した日」から数えます。他の産地が「収穫年の11月1日」「12月1日」といった暦の日付を起点にするのに対して、ここは製造工程のある時点を起点にしている。当サイトでこの起算方式はマルサーラだけです。もうひとつ特異なのは、色の名前が添加物の最低量の規定になっていることです。琥珀色の「アンブラ」を名乗るには、煮詰めモストを1%以上入れなければならない。色が製法規定として義務づけられているわけで、「アンブラだから色が濃い」のではなく「煮詰めモストを入れたからアンブラと呼べる」。樽材の指定も珍しく、オークだけでなくサクラ材を名指ししています。収量が白10 t/ha・黒9 t/haと色で違うのもシガレスの逆(あちらは赤のほうが低い)で、酒精強化ワインの産地らしい数字です。

出典

生産規定イタリア農業・食料主権・森林省(Masaf)— Marsala D.O.C. 統合版生産規定
https://www.masaf.gov.it/flex/cm/pages/ServeBLOB.php/L/IT/IDPagina/232932026年8月5日の省令に付された統合版。第1条(区分)、第2条(品種)、第3条(地理)、第4条(収量・歩留まり・最低自然アルコール)、第6条(熟成・総アルコール・糖分区分・煮詰めモスト)(2026年10月6日に確認)「L'invecchiamento deve avvenire in recipienti di legno, preferibilmente di rovere o di ciliegio, salvo che per i primi quattro mesi」

規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。