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ポルトガル / DOC

マデイラ

Madeira DOP

大西洋の島の酒精強化ワイン。熟成ルートが2本立てで、それぞれ別の時計が走る。エストゥファジェンは暦日の絶対期限、カンテイロはイベント起点の相対期限で縛られる。

規定で認められている品種

生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。

消費時の最低実効アルコール度数(adquirido)と、甘辛区分のボーメ度の数値は、読み取りが安定しなかったため載せていません。最初の読み取りでは数値が返りましたが、箇所を変えて3回読み直すといずれも「記載なし」となったため、採用を見送りました。また、レゼルヴァ/フラスケイラ/コリェイタなどの最低年数は、この規定書には書かれていません(品質の描写として列挙されているだけです)。

黒ぶどう・共通

  • ティンタ・ネグラ原文表記: Tinta Negra N
  • バスタルド原文表記: Bastardo N
  • トリウンフォ原文表記: Triunfo N

白ぶどう

  • セルシアル原文表記: Sercial B。当サイトに品種ページはまだありません
  • ヴェルデーリョ原文表記: Verdelho B
  • マルヴァジア・フィナ原文表記: Malvasia Fina B
  • マルヴァジア・カンディダ原文表記: Malvasia Candida B
  • リストラン原文表記: Listrão R
  • フォルガザン原文表記: Folgasão B

規定の要点

  • 収量は「果汁(mosto)で80hl/ha」という、酒精強化の前の段階で縛る書き方
  • 果汁の最低自然アルコール度数(natural)は9%vol。補糖などによる総アルコールの上昇は8%volを超えないこと
  • 酒精強化は96%vol以上のぶどう由来の中性アルコールを、発酵中または発酵直後に加える
  • エストゥファジェン(estufagem)=50℃を超えない温度で90日以上加熱する方式。出荷はその後12か月以上、かつ収穫翌々年の10月31日より前は不可
  • カンテイロ(canteiro)=木樽で連続2年以上熟成させる方式。出荷は最後の酒精強化から36か月後以降
  • 甘辛は extra-seco/seco/meio-seco/meio-doce/doce に区分され、品種名と甘辛度が対応づけられている(セルシアル=seco、ヴェルデーリョ=meio-seco、ブアル=meio-doce、マルヴァジア=doce)
  • ブアル(Boal/Bual)とテランテス(Terrantez)は、品種リストには載っていない

この産地でわかったこと

熟成ルートが2本立てで、それぞれまったく別の時計が走ります。エストゥファジェンは「90日以上+12か月+収穫翌々年の10月31日」という暦日の絶対期限で縛り、カンテイロは「2年以上+最後の酒精強化から36か月」というイベント起点の相対期限で縛る。同じ呼称の中で、時間の数え方そのものが違います。もうひとつ面白いのは、ブアルが品種リストに載っていないのに、甘辛度の呼称として機能していること。マデイラのブアルは規定上「品種名」ではなく「甘さのグレード名」で、品種表示と甘辛表示が同じ語で二重化しています。収量が「果汁で80hl/ha」と書かれているのも、酒精強化の前の段階で量を止める設計です。

出典

生産規定ポルトガル ブドウ・ワイン研究所(IVV, I.P.)— DO Madeira 生産規定
https://www.ivv.gov.pt/wp-content/uploads/2026/02/DO_Madeira.pdfPDO-PT-A0038/原本はIVBAM作成の2012年3月16日版。品種リスト、収量、果汁の最低自然アルコール、酒精強化、エストゥファジェンとカンテイロ、甘辛の区分(2026年10月6日に確認)「armazenado em recipientes, colocados a uma temperatura não superior a 50 °C e durante um período nunca inferior a 90 dias」

規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。