オーデンヴァルトの西側からライン谷に向かう細い南北の帯。ドイツ最小級の産地なのに、規定の場合分けがいちばん細かい。ロゼ(ヴァイスヘルプスト)に独立した閾値の列を持つのはこの産地だけ。
規定に名前が出てくる品種
ドイツの製品仕様書には品種の比率規定がありません。縛っているのは収量上限と最低果汁糖度(Mostgewicht、単位は°Oechsle=エクスレ度)の2つだけです。最低糖度は「品種グループ×プレディカート(肩書き)の段階」という二次元の表になっていて、どの品種を名指しで低く/高く扱うかに、その産地の性格が出ます。仕様書には品種の一覧表もありますが、これは複数の産地で番号も順序も同一の全国共通リストなので、当サイトでは「その産地の主要品種」として扱っていません。以下に挙げているのは、最低糖度の表が名指ししている品種です。
黒ぶどう・共通
- リースリングアウスレーゼで単独の枠(95°Oe)
- シュペートブルグンダー(ピノ・ノワール)クヴァリテーツヴァインで単独の枠(赤66°Oe・ロゼ62°Oe)
規定の要点
- オーデンヴァルトの西側からライン谷に向かう細い南北の帯。北はゼーハイム=ユーゲンハイム、南はヘッペンハイムが境。加えてグロース=ウムシュタットとロスドルフの周辺にも畑がある
- 地形は激しく裂け、西から東へ走る多数の側谷が急斜面と段々畑を作る。土壌は深成岩の岩盤または風化物(斑れい岩・閃緑岩・花崗岩)。ロスドルフ付近はレス=粘土層の下に火山岩
- 品種の比率規定はない
- 収量上限は100 hl/ha
- クヴァリテーツヴァインの最低糖度は白57°Oe/赤のシュペートブルグンダー66°Oe/赤のその他57°Oe/ヴァイスヘルプストとロゼのシュペートブルグンダー62°Oe/ヴァイスヘルプストとロゼのその他57°Oe
- カビネットは白75°Oe/赤80°Oe
- シュペートレーゼは白85°Oe/赤90°Oe/ヴァイスヘルプストとロゼ85°Oe
- アウスレーゼは白のリースリング95°Oe/白のその他100°Oe/赤105°Oe/ヴァイスヘルプストとロゼ100°Oe
- ベーレンアウスレーゼとアイスヴァインは125°Oe、トロッケンベーレンアウスレーゼは150°Oe
- プレディカーツヴァインは補糖禁止
この産地でわかったこと
ロゼに独立した閾値の列を持つのは当サイトのドイツの産地でここだけです。しかもクヴァリテーツヴァインでは、シュペートブルグンダーのロゼに62°Oeという赤の66°Oeと白の57°Oeのちょうど中間の値が置かれています。「ロゼは赤より軽く、白より熟させる」という扱いが数字になっている。もうひとつ、アウスレーゼの赤105°Oeはドイツの産地で最高値で、同じ段階のリースリング95°Oeとの差が10°Oeあります。ドイツで最も小さい産地のひとつなのに、白/赤/ロゼ、リースリング/その他、シュペートブルグンダー/その他と場合分けがいちばん細かいのがこの産地の性格です。
出典
生産規定欧州委員会 eAmbrosia — Hessische Bergstraße 製品仕様書(Technische Unterlage)
https://webgate.ec.europa.eu/eambrosia-api/api/v1/attachments/11671PDO-DE-A1268、Ares(2011)1393670(2011年12月21日)。第5.1.1節・第5.1.2節(最低糖度)(2026年10月6日に確認)「Der Hektarertrag für das bestimmte Anbaugebiet „Hessische Bergstraße" ist auf 100 Hektoliter Wein festgesetzt.」
規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。