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フランス / AOC

カオール

Cahors

カオール(Cahors)はフランスのAOC。規定に3品種が列挙されている。比率が決まっているのはマルベック(コット)(主要品種)など3品種。当サイトは一次資料4件から引いている。

マルベック(コット)の原産地。赤のみ。現行の規定は2011年のデクレで、それ以降いちども改正されていない——当サイトが確認した産地の中で、これは珍しい部類です。

規定で認められている品種

生産規定に列挙されている品種です。当サイトに解説ページがあるものはリンクしています。

この産地だけ、条文そのものを読めていません。現行は 2011年10月24日のデクレ(n° 2011-1367) で、2011年10月27日のJORFに載り、10月28日に農業省の官報(BO-AGRI)に公示されています。それ以降の改正アレテは1件も存在しません(Légifranceのタイトル検索で4通りの式を試し、EU側の登録簿も「改正手続きなし」と返しています)。問題は条文の置き場所で、2011年のデクレ本体は3条しかなく、規定の本文は附属していません。本文は官報に公示された22産地の合本PDFの中にあり、カオールはその20番目(190ページ付近)。この合本は当方の読み取りが冒頭30ページで打ち切られてしまい、該当ページに到達できませんでした。上の収量・butoir・最低自然アルコール度数・品種の構成は、EUに提出された2011年版の技術文書から確認した数字です。いっぽうコットの70%、最低糖度193 g/l、熟成と販売開始日は、廃止された2009年版(décret n° 2009-1262)にしか根拠がありません。2011年版で据え置かれた可能性は高いものの、確認できていないため、どちらの版の数字かを上に明記しています。

黒ぶどう・共通

規定の要点

  • 赤ワインのみ
  • 品種はコット(マルベック)・メルロー・タナの3つ。主要品種はコットで、メルローとタナが補助(2011年版のEU提出文書で確認)
  • 収量は50 hl/ha、rendement butoir は60 hl/ha(2011年版で確認)
  • 最低自然アルコール度数は11.5%(2011年版で確認)
  • 完成したワインの発酵性糖は3 g/l以下(自然アルコール度数が14%を超えるものは4 g/l以下)
  • 補足表示(mentions complémentaires)の規定は無い。ただしラベルには、より広い地理的単位として「Sud-Ouest」を併記してよい(文字は産地名より大きくしないこと)
  • コット(マルベック)の比率は、2009年版では「作付けの70%以上」でした。現行の2011年版の条文は取れておらず、この数字が据え置かれたかは確認できていません(下の注記)
  • 2009年版の最低糖度は193 g/l、熟成は収穫翌年の3月1日まで、販売開始は翌年3月15日から。これらも2011年版では未確認です

この産地でわかったこと

マルベックの原産地で、品種の主役はコット(マルベック)です。いっぽうアルゼンチンのメンドーサには州レベルの品種規定がありません。同じ品種を飲み比べるとき、私たちは「制度が決めた主役」と「市場が選んだ結果」という、成り立ちの違うものを比べていることになります。もうひとつ、この産地は2011年の規定が15年間いちども改正されていません。当サイトのフランスの産地の多くが2020年代に入って改正を受けているなかで、カオールは2011年の条文のまま止まっている。そしてそのことが、規定そのものを読みにくくしています——フランスの官報は「改正があったとき」にその産地の規定を単独で出し直すので、改正のない産地は2011年の22産地合本の中にしか条文が無い。下の注記はその事情です。

出典

生産規定フランス農業・食料主権省 BO-AGRI(官報)
https://info.agriculture.gouv.fr/boagri/document_administratif-302391de-0e09-4b5c-95d4-ddadcaf4ebeb「Cahier des charges du 24-10-2011」。décret n° 2011-1367 du 24 octobre 2011 (JORF 2011年10月27日、NOR AGRT1123489D)でホモロゲーションされた生産規定の本文は、この22産地の合本PDFの20番目に収録されている。2011年10月28日BO公示。当方では該当ページに到達できなかった(2026年10月26日に確認)

生産規定欧州委員会 eAmbrosia — Cahors AOP 技術仕様書(EU提出版)
https://webgate.ec.europa.eu/eambrosia-api/api/v1/attachments/10332PDO-FR-A0302。Ref. Ares(2011)1333357。内部ファイル名「AGRT1123489D CDC Cahors.pdf」=上の2011年版の規定にもとづく公式文書。収量・butoir・最低自然アルコール度数・品種・発酵性糖・「Sud-Ouest」の併記はここから(2回読んで一致。2026年10月26日に確認)「Le rendement est fixé à 50 hectolitres par hectare」

生産規定Vignobles Occitanie(生産規定PDF)/廃止された2009年版
https://vignobles-occitanie.fr/document/cahiers-des-charges/SO-cahors.pdfdécret n° 2009-1262 du 19 octobre 2009 の生産規定。文書の冒頭に「Abrogé par Décret n°2011-1367 du 24 octobre 2011 - art. 2」とありすでに廃止。コット70%・最低糖度193 g/l・熟成・販売開始日はこの版にしか根拠が無い「La proportion du cépage cot N est supérieure ou égale à 70 % de l'encépagement」

生産規定Vins de Cahors(生産者団体)
https://vindecahors.fr/fr/le-vignoble-de-cahors/

規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。