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アメリカ / AVA

サンタ・マリア・ヴァレー

Santa Maria Valley

サンタ・マリア・ヴァレー(Santa Maria Valley)はアメリカのAVA。規定は品種の比率を定めていない。当サイトは一次資料3件から引いている。

恒常的な霧の線がハイウェイ101のすぐ西にあり、それが境界を決めた。セントラル・コーストAVAの内側に「ほぼ」収まるが、国有林の中の一部だけが外に出ている。

規定に名前が出てくる品種

アメリカのAVA(American Viticultural Area)は、品種も収量も最低アルコール度数も縛りません。27 CFR 9.12 が申請者に求めるのは、①その名称が実際にぶどう栽培地と結びついていることの証拠、②境界をそこに引く根拠、③気候・地質・土壌・地形・標高の識別的特徴、④USGS地形図に境界を描き込んだもの——この4つだけです。AVA名が効いてくるのはラベルの側で、27 CFR 4.25(e)(3)(ii) が「そのAVAの境界内で育ったぶどうが85%以上」と定めています。品質の規格ではなく、原産地の真正性の規格です。したがって以下に品種を挙げている場合、それは制定時の最終規則が栽培の実態として記述している品種であって、規定上の義務ではありません。

2010年の拡張後の総面積は規則に書かれていません(「97,483エーカーに18,790エーカーを拡張」とだけ書かれています)。1981年の原規則には総面積の記載自体がありません。土壌の系統名(soil series)も挙げられておらず、取得できませんでした。制定時の資料に挙がっている品種は、1981年・2010年のどちらの規則にも記載がありません。なお1981年の規則には「谷床は約300フィート、斜面は80フィートまで」という明らかに矛盾した記述があります(2回読んで同じ印字でした)。2010年の規則が「谷床300フィートから斜面800フィート」と書いているので、当サイトは1981年の「80フィート」を原文の誤植と判断し、採用していません。

規定の要点

  • 27 CFR § 9.28。T.D. ATF-89、46 FR 39812(1981年8月5日)。改正はT.D. TTB-88、75 FR 81849(2010年12月29日)
  • カリフォルニア州サンタ・バーバラ郡+サン・ルイス・オビスポ郡(2郡にまたがる)
  • § 9.28 の条文に「Central Coast」の文字はない。2010年の改正規則が「既存のAVAは大部分がセントラル・コーストAVA(27 CFR 9.75)の内側」としたうえで、「既存AVAの一部はセントラル・コーストの境界の外、ぶどう栽培の行われないロス・パドレス国有林の中にある」と書いている。拡張部分はセントラル・コーストの内側に完全に含まれる
  • 承認地図は6枚。USGSの7.5分図のほかに軍用図系の1:250,000図2枚(series V 502、N.I. 10-3 と N.I. 10-6, 9)を混ぜている
  • 境界は国道・州道(U.S. Route 101、State Route 166)・測量区画の線・山頂と山頂を結ぶ直線(ロス・コチェス山3,016フィート、ボーン山2,822フィート)・二級道路・標高マーカー1,116フィートをたどる
  • 面積は1981年の原規則には記載がない。2010年の改正規則が「97,483エーカーの上に設定された」とし、18,790エーカーを拡張した
  • 標高はAVA全体がハイウェイ101とサンタ・マリア川の交点の約200フィートからテプスケット・ピークの約3,200フィートまで。ぶどう畑は谷床の300フィートから斜面の800フィートの間(2010年規則)
  • 土壌は「いずれも排水が非常に良く肥沃。砂質ロームから粘土質ロームまでの質感で、有害な塩類を含まない」。土壌の系統名(soil series)は挙げられていない
  • 恒常的な霧の線(perennial fogline)がハイウェイ101のすぐ西にある。101の西側は谷の他の部分より冷涼で、霧が長く留まり、冬にぶどうの休眠に必要な冷却を受けられない
  • 地形は「漏斗型の天然の谷」。海からの卓越風により夏は涼しく秋は暖かく冬は涼しい
  • 積算温度は2010年規則の2004年データで既存AVAも拡張部分もどちらも3,000単位を少し下回る
  • AVAは品種も収量も最低アルコール度数も縛らない

この産地でわかったこと

境界をハイウェイ101に合わせた理由が、霧です。最終規則は「恒常的な霧の線がハイウェイ101のすぐ西にある」とし、その西側は冬にぶどうの休眠に必要な冷却を受けられないと書いています。道路が境界に選ばれたのは便利だからではなく、たまたま霧の境目とほぼ重なっていたからということになります。親AVAとの関係も当サイトで唯一の形です。セントラル・コーストAVAの内側に「大部分が」収まるが、ロス・パドレス国有林の中の一部だけが外に出ている。しかもそこはぶどう栽培が行われていないので実害がない。ロシアン・リヴァー・ヴァレーの「南端を除いてノーザン・ソノマの内側」と同じく、AVAの入れ子はきれいな階層になっていないことを示す例です。承認地図に軍用図系の1:250,000図が混ざっているのも、当サイトでここだけです。

出典

生産規定電子連邦規則集(eCFR)— 27 CFR § 9.28 Santa Maria Valley
https://www.ecfr.gov/current/title-27/section-9.28名称・承認地図・境界の条文と改正履歴(2026年10月6日に確認)

生産規定アルコール・タバコ税貿易局(TTB)— Santa Maria Valley 最終規則
https://www.ttb.gov/system/files/images/pdfs/Santa_Maria_Valley_final_rule.pdfT.D. ATF-89、46 FR 39812(1981年8月5日)。標高・土壌・霧の線・地形(2026年10月6日に確認)「the perennial fogline is just west of the highway」

生産規定連邦官報(Federal Register)— サンタ・マリア・ヴァレーAVAの拡張
https://www.federalregister.gov/documents/2010/12/29/2010-32873/expansion-of-the-santa-maria-valley-viticultural-areaT.D. TTB-88、75 FR 81849(2010年12月29日)。面積・親AVAとの関係・標高・積算温度(2026年10月6日に確認)「A small portion of the existing Santa Maria Valley viticultural area lies outside of the Central Coast area's boundary within the Los Padres National Forest where no grape-growing takes place」

規定は改正されます。掲載しているのは各出典を確認した時点の内容です。実際の商品がその規定に沿っているかは、生産者の表示をご確認ください。フランスのAOCについては、INAOが公開する生産規定に改正案(PNO版)と官報で確定した版があります。PNO版は旧い数値に取り消し線を引いて新しい数値を併記する形式のため、当サイトは新しい数値を採用し、確定版で突き合わせられなかったものはその旨を書いています。イタリアは農業・食料主権・森林省(Masaf)が公開する統合版の生産規定、スペインは農業・漁業・食料省(MAPA)または州の所管機関・統制委員会が公開する生産規定、ポルトガルはブドウ・ワイン研究所(IVV)とドウロ・ポルトワイン協会(IVDP)が公開する生産規定・技術仕様書、オーストリアは連邦法令情報システム(RIS)のDAC法令と連邦農林・地域・水資源省(BMLUK)が公開する製品仕様書を使っています。ドイツは欧州委員会のeAmbrosiaに登録された製品仕様書(Technische Unterlage)を使っています。フランスの一部の産地も、eAmbrosiaに登録されたEU登録版の技術仕様書を使っています。これは改正案(PNO版)が混ざらない代わりに要約文書なので、最低糖度や品種の比率が記載されていないことがあり、その場合はその旨を書いています。アメリカのAVAは電子連邦規則集(eCFR)の27 CFR Part 9 が条文で、承認の根拠は制定時に連邦官報(Federal Register)に載った最終規則の前文にあります。1994年より前の最終規則は連邦官報のサイトに収録がないため、アルコール・タバコ税貿易局(TTB)が自ら公開しているPDFを使っています。